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0325あれから1年

月曜日の朝のことだった。あれからもう1年になる。

その異変に気付いたのはうちのひとだった。居間の隣の部屋で寝ている父の様子がおかしいという。いや、それは気のせいじゃないかという私を無理やり頼み込むようにして様子を見にいかせた。

何気なく声をかけたが、やっぱりおかしい。信じられない思いだったが、息がない。慌てて、声を荒げたが、やはり返事はなかった。

泣き声と救急車の音と、事態は一気に進展していったが、まさか、ということが実にあっけなく来てしまったことに驚いた。

もういい年にはなっていた。昨夜は調子が悪そうだったが、まさかである。いつもなら、朝のその時間はまだ寝ている時間なのだ。気が付いてくれたうちの人には感謝している。ちゃんと気にかけてくれていたから気付けるのだろう。

あんなふうに父に呼びかけたのも、子供の時以来じゃないか。いや、子供の時だって、あんなふうに連呼したことはなかった。

1年たったか。

物理的に家族がひとり減ったのだから、スペースは変化した。必然的に、父がいた場所に座ることが多くなった。景色が違うなぁと改めて思う。

そのせいか「死」というものが、ぐっと身近に感じるようになった。怖いくらいに、そして、時間がもう余りないんだとよく思うようになった。

人生、ってことをしみじみ考えるようになった。

なくなって、こんなにも教えてくれるなんて、ちょっと苦笑ものなのだが、不思議なものだ。物理的には減ったが、私の心の中では、少しも減っていない。

先日、父の部屋の片付けをしたが、まだほとんどそのままである。何も片付ける気がしない。

もう1年になるのか。

お骨は三回忌が終わるまで仏壇に置いててもいいですよと言われたから、まだそのままにしてある。

月日ばかりが流れていく。

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