0886見る力を引き出す
この夏、免許(大型自動車免許)の更新をした。今回もかもしれないが、今回は苦労した。もうダメかと思った、くらいに追い詰められた。
もともと目があまり良くない。
前々回(10年前)は深視力が通らなくて困った。
深視力とは2本の棒の間を棒が前後するのだが、3本が並んだ瞬間をスイッチオンで合格というもの。大型免許には付いてくるテストなのだ。視力にしても普通免許よりは厳しい。無事故無違反のゴールドだろうが、運転歴が何年あろうが、視力と深視力の検査をパスしないことには、大型免許が更新できない。
眼鏡を作り直して、深視力測定の機械があるその眼鏡屋さんで練習を積んで、なんとか合格した。
前回は比較的簡単にいけたと思う。ただ前々回のことに懲りて、体調を整え、その前1週間ほどは目に良くないと思われるパソコンや読書は控え、天気がよく晴れて明るい日を選び、地元の警察署ではなく採点が甘く、機器も新しく見やすいと言われる某センターまで出歩いて、更新したものである。
今回もそうした。そんなに油断したつもりはないが、視力が足りない。
仕方ないので、もう一回仕切り直しで、体調を整え等々々と手順を踏んでトライ。が、ダメだった。
何と右眼が悪いのである。両眼の0.8以上はクリアしたというのに、右眼の0.5が0.3しか取れなかった。あとちょっとなのだからと、粘ってみたがダメだ。最後には眼鏡を作り直してください、と言って帰されてしまった。
眼鏡は、このところ大手の安売り店で作っている。少し前からもう度をあげるのも限界ですねと言われている。それでもと思い、店を訪ねたが、やはり無理だという。眼自体が悪そうではないけれど、一度眼医者さんにでも行かれては?と言われてしまった。
それとて気休めなのだろう。眼医者と言われても途方に暮れる。
大型はあきらめて、普通だけキープできればいいか、とも思った。
こんな調子じゃ、定年したら車で日本中走り回りたいなと思っていたけど、それが夢物語になってしまう。車が乗れなくなったらつまらないだろうなと、そこまで落ち込んで考えなくてもいいことを悩んだりした。
結局は、ダメもとで子供の頃作っていた町の眼鏡屋さんに行った。
絶対大丈夫とは言えないけど、頑張れば何とかなると思いますよ、と言ってくれた言葉を信じて。
今では眼鏡を作るのも簡単なもので、機械であっという間に検査してちょうどいいレンズを割りだしてしまう。あとは微調整というところなのだろう。この眼鏡屋さんとて同じシステムではあると思う。
しかし、そこからが違うのである。微調整どころではない。視力版を前に、レンズをとっかえひっかえ調整する。目標は片目0.5、両眼0.8が見えるようにするのである。
じっくり見ると、ぼんやりしていたものが、やや見えてくるような気がする。
レンズを変えると、また見えなくなったり、見えたり。ものの色が濃く見えたり薄く見えたり。全体が明るくなったり、暗くなったり。
左右の見え方の差もあって、乱視もあって、という私。そして歳も相応にあるから、老眼的な問題もある。
が、根気よくいろいろとやって見ていると少しづつ見えてくるような気がする。
人間の脳は楽をしたがるから、限界まで頑張ってモノを見ようなどと思わないのですよ。見えなくてもいいやと思ってしまうと、近眼の世界に安住してしまって、見えなくなるんですね。そこを刺激してやらないとダメなんです。
これには、実にハッとした思いだった。
今まで免許用の眼鏡は別にしていて、必要に応じてかけていたが、そうではなく普段からかけて、いつも見ることを意識して生活すれば、少しは良くなるはずです、と言い切ってくれた。
ただ、度の強い眼鏡をかけ続けるのは、神経が疲れるというか、頭が痛くなるというか、余りしたくはない私。しかし、見るということは、そういうことなのだ、と思い直した。
ひとつの眼鏡を作るのに数日間付き合ってくれた。
歳をとったので反応は悪い。しかし、集中力を切らさず、じっと見つめていると見えてくるものである。もちろん、わずかなことである。劇的なことはない。けど、画期的な実感だった。
結果、新しい眼鏡で挑み直してクリアした。
視力検査がパスした瞬間は飛びあがるほどに嬉しかった。
あれから、かなり時間は経った。健康診断があって視力検査をした。そのことを意識してなかったので、不意打ちといった状態での視力検査だった。けど、どちらも片目で0.8あった。
このまま視力が良くなるとは思えないけど(やっぱり本来的に近眼でいいやと思っている世界観が心の中にあるのだろう)、見るとはどういうことなのかを考えされられた、今年の夏だった。
もともと目があまり良くない。
前々回(10年前)は深視力が通らなくて困った。
深視力とは2本の棒の間を棒が前後するのだが、3本が並んだ瞬間をスイッチオンで合格というもの。大型免許には付いてくるテストなのだ。視力にしても普通免許よりは厳しい。無事故無違反のゴールドだろうが、運転歴が何年あろうが、視力と深視力の検査をパスしないことには、大型免許が更新できない。
眼鏡を作り直して、深視力測定の機械があるその眼鏡屋さんで練習を積んで、なんとか合格した。
前回は比較的簡単にいけたと思う。ただ前々回のことに懲りて、体調を整え、その前1週間ほどは目に良くないと思われるパソコンや読書は控え、天気がよく晴れて明るい日を選び、地元の警察署ではなく採点が甘く、機器も新しく見やすいと言われる某センターまで出歩いて、更新したものである。
今回もそうした。そんなに油断したつもりはないが、視力が足りない。
仕方ないので、もう一回仕切り直しで、体調を整え等々々と手順を踏んでトライ。が、ダメだった。
何と右眼が悪いのである。両眼の0.8以上はクリアしたというのに、右眼の0.5が0.3しか取れなかった。あとちょっとなのだからと、粘ってみたがダメだ。最後には眼鏡を作り直してください、と言って帰されてしまった。
眼鏡は、このところ大手の安売り店で作っている。少し前からもう度をあげるのも限界ですねと言われている。それでもと思い、店を訪ねたが、やはり無理だという。眼自体が悪そうではないけれど、一度眼医者さんにでも行かれては?と言われてしまった。
それとて気休めなのだろう。眼医者と言われても途方に暮れる。
大型はあきらめて、普通だけキープできればいいか、とも思った。
こんな調子じゃ、定年したら車で日本中走り回りたいなと思っていたけど、それが夢物語になってしまう。車が乗れなくなったらつまらないだろうなと、そこまで落ち込んで考えなくてもいいことを悩んだりした。
結局は、ダメもとで子供の頃作っていた町の眼鏡屋さんに行った。
絶対大丈夫とは言えないけど、頑張れば何とかなると思いますよ、と言ってくれた言葉を信じて。
今では眼鏡を作るのも簡単なもので、機械であっという間に検査してちょうどいいレンズを割りだしてしまう。あとは微調整というところなのだろう。この眼鏡屋さんとて同じシステムではあると思う。
しかし、そこからが違うのである。微調整どころではない。視力版を前に、レンズをとっかえひっかえ調整する。目標は片目0.5、両眼0.8が見えるようにするのである。
じっくり見ると、ぼんやりしていたものが、やや見えてくるような気がする。
レンズを変えると、また見えなくなったり、見えたり。ものの色が濃く見えたり薄く見えたり。全体が明るくなったり、暗くなったり。
左右の見え方の差もあって、乱視もあって、という私。そして歳も相応にあるから、老眼的な問題もある。
が、根気よくいろいろとやって見ていると少しづつ見えてくるような気がする。
人間の脳は楽をしたがるから、限界まで頑張ってモノを見ようなどと思わないのですよ。見えなくてもいいやと思ってしまうと、近眼の世界に安住してしまって、見えなくなるんですね。そこを刺激してやらないとダメなんです。
これには、実にハッとした思いだった。
今まで免許用の眼鏡は別にしていて、必要に応じてかけていたが、そうではなく普段からかけて、いつも見ることを意識して生活すれば、少しは良くなるはずです、と言い切ってくれた。
ただ、度の強い眼鏡をかけ続けるのは、神経が疲れるというか、頭が痛くなるというか、余りしたくはない私。しかし、見るということは、そういうことなのだ、と思い直した。
ひとつの眼鏡を作るのに数日間付き合ってくれた。
歳をとったので反応は悪い。しかし、集中力を切らさず、じっと見つめていると見えてくるものである。もちろん、わずかなことである。劇的なことはない。けど、画期的な実感だった。
結果、新しい眼鏡で挑み直してクリアした。
視力検査がパスした瞬間は飛びあがるほどに嬉しかった。
あれから、かなり時間は経った。健康診断があって視力検査をした。そのことを意識してなかったので、不意打ちといった状態での視力検査だった。けど、どちらも片目で0.8あった。
このまま視力が良くなるとは思えないけど(やっぱり本来的に近眼でいいやと思っている世界観が心の中にあるのだろう)、見るとはどういうことなのかを考えされられた、今年の夏だった。
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